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2023/04/28

電子帳簿保存法の改正に備えて、請求管理業務を Power Automate &Windows 365 活用で自動化。法改正によって増大する業務負荷から社員を解放して、本来業務に注力できる環境を実現

株式会社ジェーミックス  (以下、ジェーミックス) は、2000年2月に上越ケーブルビジョン株式会社 (JCV) の通信事業の企画運用を担うことを目的に設立されて以来、ICT を活用した地域活性化を事業の軸として成長。最新のテクロジーをお客様のビジネス活性化に適した形で提案するために、自社内の ICT 環境を “最新テクノロジーのショーケース” として積極的に活用する取り組みも数多く行ってきました。たとえば、Microsoft 365 を地域でもいち早く導入し、そのメリットを自社内で検証したこともその 1 つ。さらにはクラウド時代に適合した先進の「ゼロトラストセキュリティ」を、Azure Active Directory (Azure AD) を要としてすでに実践していることも実例として挙げられます。こうして、先進のテクノロジーを活用してきたジェーミックスが、新たに開発したのが、2024 年の電子帳簿保存法改正に先立って、請求書管理業務を自動化です。そしてこのソリューションを実現するために最適なテクノロジーとして活用されたのが、Power Automate と Windows 365 でした。

J-Mix

最新のテクノロジーを適切に活用することで働きやすい環境を構築

ジェーミックスは、通信事業者向けの「ケーブルテレビISPサポート事業」と、学校教育機関向けの「情報化支援事業」、そして地域企業・公共・自治体向けの「情報化支援事業」という 3 つの事業を展開する ICT ソリューション企業です。
地域やお客様にとっての「未来 (あす) につづく道標 (みちしるべ)」となることを理念として掲げる同社は、2022 年 12 月に Azure クラウドサービスによる IoT 活用事例紹介や地域課題解決を目標に、上越妙高IoTビジネス共創ラボを設立。さらに 2023 年 3 月には地域企業の デジタルトランスフォーメーション (DX) 推進の発信基地として、Microsoft Base Joetsu-Myoko を開所するなど、地域に向けた情報発信にも、積極的に取り組んでいます。

こうしたジェーミックスの活動が強い説得力を持っている理由として一番に挙げられることが、「自社内の ICT 環境に、最新のテクノロジーを適切に活用することで働きやすい環境を構築するとともに、生産性やセキュリティの向上に努めてきた」という事実です。

たとえば 2020 年に Covid-19 (新型コロナウイルス感染症) が流行した際には、ジェーミックスでは Microsoft 365 に含まれているコラボレーションプラットフォームである Microsoft Teams で「会社の固定電話番号で外線通話が可能」になる、ソフトバンク社による Teams の電話機能サービス「UniTalk」をいち早く追加導入して、テレワークを実施しています。

ジェーミックス 執行役員 経営企画部 部長 田西 正宏 氏は次のように振り返ります。
「コロナ禍によって全国的にテレワークが推奨された際に、当社でも在宅勤務が可能な部署を対象に実施していきました。ただし、地域のお客様の中には製造業や建設業などテレワークが難しい業種の企業が多く、当社としても Teams のチャットや Web 会議機能に比べて『電話』の重要性が高かったという実情がありました。そこで UniTalk を併せて活用するに至った次第です」

こうしてコロナ禍によるテレワークと通勤の「ハイブリッドワーク」を通じて、クラウド ソリューションの有効性を確信した同社では、2022 年にはすべてのシステムをパブリッククラウドである Microsoft Azure 上に移行。オンプレミスのサーバーをすべて排した上で、Azure AD を認証認可の要として、先進のセキュリティである「ゼロトラストセキュリティ」を実践するに至っています。

そして今ジェーミックスでは、企業の経理業務に大きな影響をもたらす「改正電子帳簿保存法 (2022年 1 月施行、2024 年から完全義務化)」に沿った請求管理業務を自動化するために、最新の クラウド PC (Windows を SaaS として提供) である Windows 365 と、システム開発の専門家でなくても高度なツールを自作できる “ローコード開発ツール”「Microsoft Power Platform」の 1 つである Power Automate を活用。「管理負担ゼロ」に近い RPA (Robotic Process Automation) ツールを作成して、運用しています。

「想像以上の負担」が想定される改正電子帳簿保存法への対応をすでにクリア

「改正電子帳簿保存法」は、2023 年 10 月に施工されるインボイス制度と並行して進められている制度であり、日本のすべての企業に「経理事務の電子化」を迫るものです。

2022 年 1 月の施工から 2 年間の猶予を経て、2024 年から電子取引の電子データ保存が義務化されますが、この法に則した “保存要件” を満たすためにはデータの「真実性の確保」= タイムスタンプの付与や、記録事項の訂正・削除を確認できるシステムでの授受および保存を行うなどといった処置のいずれかを行うことが求められると同時に、「可視性の確保」として保存されたデータを簡単に検索・表示できる運用が求められます。

これらの条件を満たすために対応すべき事項は想像以上に多く、多くの企業では経理業務の負担が増大することが予想されています。

しかしジェーミックスは、すでにこの困難を Power Automateを活用することで、ほとんど克服済みだというのです。田西 氏は次のように説明します。

「当社では、2021 年の春から請求書関連業務の電子化を進め、取引先の皆様にも請求書の電子化をお願いしてきました。電子化の方法は取引先様によってさまざまで、PDF をメールに添付していただいている場合もあれば、システムを介して『請求書をダウンロードするためのリンク』を送っていただく場合もあります。こうして受領した請求書などのデータに、取引先様ごとのルールを決めてファイル名を付与して、しかるべき場所にデータを保存するフローを開始したのです。しかし実際に運用を始めてみると細かな作業が山積しており、担当者の負担が増える上に、ヒューマンエラーが発生しやすくなるという懸念が生じました。その時、私の部署でテストしていた Power Automate を活用することを思いついたのです」

同 経営企画部に所属する吉田 佳奈 氏が Power Automateを試験的に学習しており、その可能性を把握していたことから、2021 年 7 月に請求関連業務を自動化するツールの作成を依頼。社内に余っていたノート PC を RPA 専用機として利用するところから、プロジェクトがスタートしました。開発はスムーズに進み、あっという間に運用を開始すると狙い通りに請求管理業務の自動化を達成。改良を重ねながら現在に至っているといいます。

直観的で分かりやすいツールで「業務の隙間」を埋める RPA をスピード開発

ジェーミックスが実現した RPA の要となっているサービスが、下記の 2 点です。

  1. 直観的な操作で開発が可能な「Power Automate」

  2. 導入が簡単で、24 時間 365 日稼働する仮想デスクトップ「Windows 365」


実際に Power Automate での開発を行った吉田 氏は次のように振り返ります。

「私自身、コードを書いてプログラムした経験がありますが、Power Automate での開発の方が気に入っています。インターフェイスが非常に直観的にできているため、パッと見て全体を把握しやすいのです。そのため、開発から時間が経過した後に何らかのエラーが生じた場合でも、原因となっている箇所を推定しやすく、確認・修正の手間が少なくて済むというメリットがありました」

ローコード開発ツールである Power Automate では、フローデザイナーという画面上に、900 以上のコネクタを活用し、予め用意されているアクション(任意の Web を開く、Excel ファイルを開く、Teams にアラートを送る、などの行動を指定、など)を選択するたけで、RPA ツールを開発できます。非常に自由度が高く、操作が容易になっていますが「その分、作り手のアイデアが重要になる」と話すのは、ジェーミックスの協業パートナーである TD SYNNEX 株式会社の數見 真央 氏です。

「日本の中小企業の場合、ICT の専任者がいらっしゃらないことがほとんどです。そのため『RPA って便利そうだな』と思っても、なかなか手が出せないという事も多いのではないでしょうか。ですが、Power Automate は今回のジェーミックス様のように具体的な業務イメージがあれば、とても試しやすいツールです。Power Automate には無償で使えるライセンスもありますし、何か難しいことが出てきた場合にも、ジェーミックス様と当社とで十分にサポートさせていただけると思います」

吉田 氏も「業務を分かっている人が活用することで『ちょっとした隙間を埋める』RPA ツールを開発することができる」と続けます。

Power Automate は本当に、見やすくて使いやすいツールだと実感しています。日常の業務を自動化するにあたって “この手間をなくせないかな?” という、ちょっとした部分を埋めることが容易にできるのです。たとえば、今回の請求関連業務においてはお客様のシステムにつながる『デスクトップアイコンをクリックして』そのシステムからダウンロードした請求書データの『ファイル名を変更して』適切な場所に保存する、といった部分。ほんのちょっとの手間なのに、従来ならば人の手が必要とされていた部分を自動化することができます。多分、ほとんどの方が想像するよりも、使いやすい開発ツールだと思います」

さらに、Power Automate で RPA を内製化することは「当社のような中小企業にとって、非常にコストメリットの高い選択肢」だったと、田西 氏は続けます。

「改正電子帳簿保存法に則したパッケージ製品もすでに発売されていますが、そうしたパッケージを総合的に導入して運用するのは、“予算的に厳しい” というのが正直なところです。しかも、パッケージに定められたフローに合わせて、自社の運用を変えていく必要も生じるでしょう。一方、Power Automate を活用して RPA ツールを内製化するということは、“自社のフローに適した運用” を可能にすることも意味しています。新しい法に対応するために、融通の利かない高価なシステムを導入するのではなく、“自社に適したソリューション” を現場の知見を活かして開発・運用できることは大きな魅力です」

ストレスなく利用できる安全・安心な仮想デスクトップで、勤務の自由度をアップ

そして、もう 1 つの要となっている Windows 365 について田西 氏は「とても簡単に導入できる仮想デスクトップサービスで、信頼性も高い」と話します。

「最初は余っていたノート PC 上で RPA を運用していましたが、24 時間 365 日安定稼働させるには、電源の喪失やマシントラブル、さらにスペースの確保など、さまざまな課題がありました。そこで、RPA もクラウドに上げて、仮想デスクトップの中で稼働させることにしました。その際に、Windows 365 を選択した理由は『導入・展開が非常に楽だ』ということと、『信頼性・操作性に優れている』ということにあります。ノート PC を利用していると、離席する際や移動の時など、蓋を閉じてスリープ状態にしますよね。Azure Virtual Desktop (AVD) の場合、そこで通信が途切れてしまうため再接続が必要になるのですが、Windows 365 の場合は普通のノート PC と同じように開くだけで起動します。安全な DaaS 環境を何のストレスもなく活用できるので、非常にありがたいですね」

また、數見 氏は「定額利用できることもメリット」だと話します。
「AVD は従量課金であるため、不特定のユーザーが必要な時だけ利用できるようにマルチセッション接続で導入する際にコストメリットが高くなります。一方、Windows 365 は定額制のライセンスになっていますので、ユーザーが専有する仮想デスクトップ環境として導入する際の予算を立てやすいことも、メリットになっています」

現場の、現場による、現場のためのシステム開発で DX を加速

こうしてさまざまなメリットを生んでいる Power Automate と Windows 365 活用ですが、田西 氏はさらに「私たちのようにシステムの運用・保守を担当する者が休暇を取りやすくなったことも、大きなメリット」だと話します。

「Windows 365 のおかげで、会社支給の Surface とインターネットさえあれば、すべての業務が行えます。おかげで出張中に何かあっても対応できますし、休暇中にトラブルが発生したとしても対応しやすくなっています。RPA で請求関連業務を自動化したといっても、会社に置きっぱなしのノート PC で動かしていたのでは、いつトラブルが発生するかも分かりませんから、常に『誰か』が現場に出向く必要が生じてしまいますが、今はそのような心配もありません。RPA もクラウド上で 24 時間 365 日稼働しているのですから」

吉田 氏も「おかげさまで RPA については、ほとんど放っておいたまま」だと続けます。

「開発中はいろいろ苦労することもありましたが、無事に稼働してしまえば、後はまったくといって良いほど手がかかりません。エラーが発生すると私の Teams 宛にアラートが届くようになっていますので、それ以外は本当に手がかかりません」

TD SYNNEX 広域営業本部 東日本営業部の鈴木 幸太郎 氏は「多くのお客様にとって、クラウド活用のコストメリットを高める、良いきっかけになるのでは」と話します。

「多くのお客様は Microsoft 365 などを導入して、メールや Office 製品などをクラウド化するところから始まって、コロナ禍のテレワークで Teams などのソリューションまで活用を広げられています。しかしそこから先、導入したクラウドサービスを徹底的に活用してコストメリットを最大化するところまでは、なかなか進めずにいるお客様が多くいらっしゃるようにも感じています。そうした時に、今回ジェーミックス様が実現されている活用方法が、とても具体的で分かりやすいお手本になるような気がしています」

最後に田西 氏は「Power Automate の活用を社内に広げて、DX を加速させていきたい」と締めくくります。
「Power Automate をはじめとする Power Platform の最大の利点は、ICT の専門家ではなく、各種業務のプロフェッショナルが、それぞれの知見を活かしながら、業務の効率化・生産性の向上に資するシステムやツールを開発できることにあると思います。そのメリットを当社内でも最大化していくために、より多くの部署で Power Platform を活用してもらいたいと思っています。『そのために教育プログラムを考える』というよりは、“まずは気軽に使ってみて欲しい” と考えています。実際に手を動かして試行錯誤してみることが、一番の学習だと思います」

“Windows 365 のおかげで、会社支給の Surface とインターネットさえあれば、すべての業務が行えます。おかげで出張中に何かあっても対応できますし、休暇中にトラブルが発生したとしても対応しやすくなっています。RPA で請求関連業務を自動化したといっても、会社に置きっぱなしのノート PC で動かしていたのでは、いつトラブルが発生するかも分かりませんから。”

田西 正宏 氏, 執行役員 経営企画部 部長, 株式会社ジェーミックス

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