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2023/01/31

人と人とのリレーション、マイクロソフトと結ぶ強固なパートナーシップが生み出す大成建設の新たなビジネス

2023 年に創業 150 周年を迎える大成建設は、さまざまな建設プロジェクトに携わってきた日本を代表する総合建設会社です。大成建設グループでは、中長期的に目指す姿として【TAISEI VISION 2030】を策定。人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する企業グループへと進化するために、さまざまな取り組みを推進しています。

大成建設では、BIM (Building Information Modeling) と IoT を融合し、建物の情報をユーザーに提供するプラットフォーム、建物管理システム 【LifeCycleOS (以下 LCOS)】 を Microsoft Azure 上に構築。LCOS を利用した建物ライフサイクル管理サービス、点検管理システム 【LIfeCycle Management Console (以下 LCMC)】 の提供を開始しました。この画期的なソリューションの実現には、マイクロソフトとの強固なパートナーシップが重要な役割を果たしています。

Taisei

持続可能な産業を目指して建物の運用・管理業務をトータル サポート

大成建設をはじめとする総合建設会社 【ゼネコン】 は、建築や土木の工事一式を請け負い、事業の企画、設計から施工・監理まで一貫した運用・管理が主な業務です。また、重層下請構造となっている建設業界において、事業の元請として工事を一括で請け負い、協力企業をマネジメントしながらプロジェクトを成し遂げる能力があるからこそ、超高層ビルやダム、発電所など、建物から街づくり、社会インフラに至るまで大規模なプロジェクトを担うことができます。

一方で、ゼネコンは、これまで竣工後の建物の運用・管理ビジネスに積極的には取り組んできていませんでした。しかし近年、運用・管理を含む建物ライフサイクル全般領域に注力する意義が生まれてきました。大成建設 ソリューション営業本部長 執行役員の波多江 祐輔氏は、運用・管理の領域に注力する背景を次のように説明します。「まずは少子高齢化による労働力の減少により運用・管理業務の省人化を進める必要があります。さらに、2050 年のカーボン ニュートラルの実現に向けて、今後建物の長寿命化や省エネルギー化、リニューアルといった需要が増えてくることが予想されます」(波多江氏)

持続可能性が大きなテーマとなるこれからの社会においては、建物の運用・管理分野にもイノベーションが必要とされ、そこにビジネスの機会が生まれるというわけです。

三方よしのスマート ビル プラットフォームを Microsoft Azure 上に構築

「建物のライフサイクルにデジタルの力を使えるのではないかと考えました」と語るのは、大成建設 AI・IoT ビジネス推進部 部長の上田俊彦氏です。「建設業というのは、巨大建物を大勢の職人さんや監督が図面というアナログ データで創り上げるという、超リアルで人が中心なビジネスです。つまりデジタルとは対極にある業界なのです」(上田氏)

アナログ データを誰にでもわかるデジタル データに変換し、職人さんや監督のノウハウや技術をデジタル化して汎用化できれば、建物建設が効率的になると考えられます。加えて、これらのデジタル データを建物の運用・管理に活用できれば、ファシリティー マネジメントが高度化するなど、建物のライフサイクルに大きく寄与できるのです。

このように建物ライフサイクル全般へのデータ活用を目指して、建物ファシリティー マネジメントを行うための基盤としてデジタル プラットフォームを開発しました。

「このプラットフォームを基盤として、建物データや運用管理データを活用することで、コストダウンや省エネルギー化が図れ、さらに新しい価値を創造できる。それは建物のオーナーや利用者にとって歓迎すべきことですし、私たちにとっても利益のタネとなります。そしてなにより、社会のためにもなる、三方よしの状況がつくれると考えました」(上田氏)

こうして同社は、2019 年から不動産価値の向上や建物保守業務の効率化、利用者満足度の最大化を目的とした、建物管理システム (LCOS) の開発に着手しました。

マイクロソフトのクラウドサービス Microsoft Azure 上に構築された LCOS は、マイクロソフトのさまざまなサービスとの連携によって高いセキュリティと機能性を確保。Microsoft Dynamics 365 で案件を管理、Microsoft Teams を活用した運用を行っています。自社施工の建物でなくても、もしくは施工済みの建物であっても導入できるシンプルな構造が特徴で、遠隔からも操作できるスマート ビル プラットフォームとして開発されました。

そして、LCOS 上で稼働し、LCOS から取得した IoT データを活用して建物管理をスマート化するサービスとして 2021 年にリリースされたのが、点検管理システム (LCMC) です。LCMC はユーザーのニーズに応じて、より柔軟にサービスを改善・提供できるようにサブスクリプション方式を採用しており、すでに実証検証が開始されています。

将来的には建設業界全体が利用可能なソリューションとして展開

「実証検証では、まずこれまで紙ベースで行われていた点検業務をデジタル化し、データを有効活用して業務の効率化を図ろうとしています」と語るのは、上田氏とともにこのプロジェクトを推進してきた大成建設 AI・IoT ビジネス推進部 プラットフォームデザイン室 室長の末田隆敏氏です。

デジタル化によって目に見える効果も表れています。これまでは、いわゆるコミュニケーションコストが非常に多くかかっていました。しかし、紙への押印業務が画面上でできるようになったり、過去データに簡単にアクセスできるのでインシデントが起きた際の業務平準化を図れるようになったりと、LCMC を使用することで、業務変革が可能となり、試算では約 25 % のコミュニケーション コストを削減できました。

一方で、構築段階では手薄になりがちだった操作性の部分を重点的に見直しました。稼働から 3 〜 4 ヶ月の間に LCMC システムのユーザーインターフェイスを 100 ヶ所以上改修したといいます。

末田氏は、LCMC の意義を次のように語ります。「今後ストック型社会に向かうにつれて、建物の長寿命化は大きなテーマになってきます。LCMC の導入によって、建物のあらゆる情報をデータ化し、それらをフル活用し建物の運用・管理を最適化することで、建物の長寿命化、ひいてはカーボン ニュートラルの実現につながると考えています。データを用いて建物の『かかり付け医』になっていきたいと考えています」(末田氏)

将来的には、建物内のあらゆる情報に遠隔からセキュアかつリアルタイムにアクセスし、制御できる効率的なビル運用を実現し、“止まらないビル”を実現していく予定で、AI の活用によって、建物の運用・管理だけではなく、建て替えやリノベーションなどの将来計画も含めた一元管理を実現し、さらには同社以外の企業も LCOS 上でサービスを提供できる世界を目指しています。

上田氏は、同社が大手総合建設会社として、建設業全体を考えていく社会的責任についても語ります。

「当社は我国建設業のリーディング カンパニーとして、カーボン ニュートラルや SDGs (Sustainable Development Goals : 持続可能な開発目標) などの目標達成や業界の持続的な発展のために、DX やシステム開発への継続的な投資を進め、業界に広めていく義務があると考えています」(上田氏)

プロジェクトを後押ししたマイクロソフトとのパートナーシップ

「LCOS は、当社とマイクロソフトの強固なパートナーシップから生まれたプラットフォームである」と上田氏は導入当初を振り返ります。「建物ライフサイクルへのデジタル導入は難しい取り組みでした。リアルを重視する建設業においてはデジタルの効用について理解を得にくく、私たちも暗中模索で始めたプロジェクトだったので、開発に至るまでには紆余曲折ありました。ここまで来られたのはパートナー企業の協力が大きかったと思っています。なかでもマイクロソフトとの出会いは貴重なものでした」(上田氏)

スマート ビル プラットフォームの開発には、同社が目指す姿や目標を理解し、ビジネスにおける新価値の創造を支援するマイクロソフトのコンサルティング サービス である Microsoft Consulting Services を活用。プラットフォームの構想や全体設計などの協業体制を構築し、設計、開発、検証を行いました。

米国マイクロソフト本社における先進事例の見学から始まり、実証検証、共同営業、そしてプラットフォーム構築に至るまで、両社は緊密な連携を続けてきました。マイクロソフトが LCOS と似た構想 (Smart Buildings) を持っていた点や、技術的な支援などもあいまってコラボレーションは順調に進みましたが、なかでもプロジェクトの方向性を決定づけたのは、ある一枚の図表だったそうです。「プロジェクト発足当初の手探りの段階で、マイクロソフトの担当の方が LCOS の元となる構想図をつくってくれたのです。そのときに “これだ!” と直感して、私の迷いはそこで吹っ切れました」(上田氏)

「そういった提案はマイクロソフトの方にとっては新しいことではなかったのかもしれません。ですがアナログな業界でこのプロジェクトを推進しなければいけなかった立場としては、その想いを補完して後押ししてくれる企業、そして人がいてくれたのが、なにより大きかったですね」(上田氏)

その後の進行過程においても、技術的な支援や人的リソースの提供など、マイクロソフトからの「契約書には載っていないリターン」には大いに助けられたと上田氏。

「マイクロソフトは部分的なソリューション パートナーではなく、ビジョンを共有した信頼関係にあるビジネス パートナー。ともにビジネスをつくりあげてきた仲間だと思っています」(上田氏) 

DX の真価。DX がもたらす価値創造

LCOS および LCMC は、今後改良を加えて販促フェーズに入っていきます。「2050 年のカーボンニュートラルの実現までに、建物のオーナーさまがやるべきことは増え続けていきます。私たちの役割は、LCMC によってその支援をし続けること。当然当社ではそこから利益を得ることができますし、持続可能なビジネスになると考えています」(波多江氏)

上田氏と末田氏は大きくうなずきながら「今後はデジタルの力を使ってユーザーに見える形で価値を提供し、ビジネスとして成立させることが大切です。私たちはすでに、これまで開発フェーズだった LCOS、LCMC の事業化フェーズへと頭を切り替えています」と前を向きます。

波多江氏は、そのためにはパートナー企業との協業が欠かせないとして、マイクロソフトへの期待を語ります。「マイクロソフトとは Windows 95 からのおつきあいです。それ以来、常に最先端を走っていらっしゃるし、セキュリティについても Microsoft Azure であれば非常に安心感があります。また、国内だけでなくグローバルの動きもよくご存知ですので、非常に心強い味方です」(波多江氏)

続けて、個人的な思いですが…と上田氏。「私は人間のリレーションがデジタルの社会をつくると思っています。いわゆる “ヒューマン セントリック デジタル ソリューション” ですね。人を起点とした DX こそが私たちの進む道です。これからもマイクロソフトをはじめとするパートナー企業とともに、進化し続けていきたいと思っています」(上田氏)

建築・土木という協働なしには成立しない業界をリードしてきた同社だからこそ、その言葉からはデジタルの力を活用するには技術や知識だけではなく人と人とのコミュニケーションやチームの力こそが重要であり、それこそが価値を創造する原動力であるという思いが説得力を持って伝わってきます。これから先もきっと、人の温もりが感じられる、安全・安心な環境を私たちに届けてくれることでしょう。

“このプラットフォームを基盤として、建物データや運用管理データを活用することで、コストダウンや省エネルギー化が図れ、さらに新しい価値を創造できる。それは建物のオーナーや利用者にとって歓迎すべきことですし、私たちにとっても利益のタネとなります。そしてなにより、社会のためにもなる、三方よしの状況がつくれると考えました”

上田 俊彦 氏, ソリューション営業本部 AI・IoT ビジネス推進部 部長, 大成建設株式会社

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