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2023/02/22

最新のナレッジを社内に蓄積し、技術力の向上へ。内製化を前提にした Azure 導入でテレワーク全盛の働き方に適した “ユーザビリティーに優れた仮想デスクトップ環境” を実現

株式会社NBE  (以下、NBE) は、「IT事業を通じてだけでなく、一人一人が正しい姿を周囲に見せる事で、より良い社会を作り、次の世代に繋げていくことを目指す」という経営理念に基づき、これまで成長を続けてきました。この理念を社員全員が共有し具現化するために、まず私たちエンジニア一人一人が心身ともに健康で、充実感とやり甲斐をもって日々を送ること、仕事を楽しみ、技術者として誇りを持つことを大切にしてきました。また会社も社員の幸せを第一と考え、社員の人生を全力でサポートしていくという姿勢で取り組んできました。

2020 年にCovid-19 (新型コロナウイルス感染症) の世界的な流行によってテレワーク中心の働き方に移行した際にも、社員にとってベストな環境を整えるべく、さまざまな施策を検討。その一環として、かねて利用してきたリモートデスクトップをより便利なものとするために、マイクロソフトの Azure Virtual Desktop を採用しています。さらに特筆すべきは、この時 NBE が Azure の運用を内製化する前提でプロジェクトを推進させていたという事実でした。

NBE

技術力向上への飽くなき意欲。社内にナレッジを残す、内製化へのチャレンジ

NBE は、金融システム事業や社会・公共システム事業、産業・流通システム事業など、さまざまな側面から社会の IT 化事業に取り組んでいます。1981 年の創業以来、情報システムの設計・構築に従事し続けてきた NBE の「技術力向上」への意欲は強く、“新しいチャレンジ” を含むプロジェクトに際しては、必ず社内にナレッジを残し、次の機会へと活かしていくことを前提にしてきたといいます。

それは社内システムをクラウド化するために導入したパブリッククラウドである Azure についても例外ではなく「構築・運用を自社内で行うことを前提として導入しました」と、NBE 総務部 情報システム課 課長 藤井 繁 氏は説明します。

「当社が Azure の導入に向けて本格的に動き始めたのは 2020 年の冬になってからでした。この時、一番の目玉になったのが『お客様先でシステム開発プロジェクトに従事しているエンジニアたちに、Azure Virtual Desktop (当時の名称はWindows Virtual Desktop) を活用して、より良い業務環境を提供する』ことでした。コロナ禍によってテレワークが中心のワークスタイルに変わったことで、以前から課題のあった仮想デスクトップ環境を刷新する必要があったのです」

NBE に所属するエンジニアの多くはお客様先でシステム開発プロジェクトに従事しています。その多くは常駐先のお客様から貸与される PC を利用して業務を行っているため、それぞれのセキュリティポリシーに則した PC運用が求められます。そのため、常駐先から NBE の社内システムにアクセスして報告や申請などを行う際には、お客様から貸与された PC を使わずに仮想デスクトップ環境を利用することを常としてきました。

しかし「これまで利用してきた Windows のリモートデスクトップの運用には限界が来ていた」と藤井 氏は説明を続けます。

「データセンターのホスティング サービスを利用して Windows リモートデスクトップ用のサーバーを構築・運用してきたのですが、近年はリソースの不足が目立ち、月末など業務が集中する特異日には、なかなかアクセスできなくなるという課題がありました。専用サーバーを増設するとコストが高くついてしまいますのでサーバーのメモリを増設するなどして、何とか運用を続けていた状況でした。従来であれば、社内業務は帰社または出社できる日にまとめて行うこともできたでしょう。しかし、コロナ禍の外出自粛や出社制限がある中ではそうはいきません。必然、仮想デスクトップ環境を刷新する重要性が増したのです」

こうして NBE では、仮想デスクトップ環境をクラウドで提供する DaaS (Desktop as a Service) の提供、および最終的に社内システムのほぼすべてをクラウド化するプラットフォームとして相応しいサービスの比較検討を開始。その結果「将来的な活用を含め、機能やサービスが充実している」「すでに活用中の Microsoft 365 との親和性が高い」として選ばれたのが Azure でした。

総務部 情報システム課 主任 為重 礼 氏は次のように振り返ります。

「社内システムをクラウド化するプロジェクトを上層部に説明した際の資料に記載した内容で、私自身も強く意識しているのが『在宅ワークが前提となった社会の変化に対応し、快適な自社業務環境を全社員に提供する』という一文です。その点でいえば Azure Virtual Desktop は、まさに『快適な自社業務環境』を実現できるサービスだと大いに期待していました。私の中では『Azure Virtual Desktop があればこそのプロジェクト』でした」

そして 2021 年 2 月に入り、Azure に詳しい IT パートナー数社に「Azure の内製化を前提としたサポート」を要件に加えて見積もりと提案を求めた結果、充実したトレーニング内容を提示してきた AZPower株式会社 (以下、AZPower) をパートナーに選定。2021 年 7 月から正式にプロジェクトがスタートしました。

情シス担当を支えた、知見あるパートナーと、充実した公式ドキュメント

Azure の内製化にこだわって要件を定義した NBE ですが、ここで特筆すべきは「情報システム課 課長を兼務する藤井 氏と、実際に構築・運用に携わる為重 氏の2名で成し遂げた」という事実です。しかし為重 氏は「当社の文化として、内製化は当り前のことでしたし、AZPower さんのサポートもありましたので、不安はまったくありませんでした」と笑顔を覗かせます。

AZPower の提供するトレーニングは、Azure を IaaS (Infrastructure as a Service) として活用する方法について、バックアップの方法や Azure Active Directory (以下、Azure AD) の7 時間のプログラムを 2 日間、Microsoft Teams を通じたオンラインで、講習とハンズオン実習が実施されました。

その後は、為重 氏が書いた設計書を Teams で共有し、AZPower のエンジニアがレビューするやり取りを重ねることでプロジェクトをしっかりとサポート。為重 氏が抱いた安心感を生んでいます。

そしてもう 1 つ、この Azure 内製化のプロジェクトを強く支えた要素があると、藤井 氏と為重 氏は声を揃えます。それが「日本マイクロソフトによる、日本語の公式ドキュメントの充実」でした。

「AZPower さんのトレーニングを受けた後になると、マイクロソフトが公開しているドキュメントが非常に充実していることが実感できました。Microsoft Learn には、とても助けられました。当社の教育責任者を兼務していることもあり、私は他社のドキュメント類にも頻繁に目を通しているのですが、マイクロソフトの公式ドキュメントは群を抜いてクオリティが高いです。ただ時折、誤訳が見つかるので、そうした時にはいつもフィードバックを送っています」 (藤井 氏)

「前職で、大手のドキュメントを数多く参照しながら開発を行ってきましたが、マイクロソフトのドキュメントは、それらに比べて非常に読みやすくまとまっていましたので、非常に助かりました。今回のプロジェクトでは、仮想サーバーの構築からネットワークの設計など、すべてを自分自身で行うという貴重な経験を積むことができ、エンジニアとして成長できた実感があります。これも Azure 内製化のメリットです」(為重 氏)

こうして、順調に進行した Azure 内製化による、社内システムのクラウド化プロジェクトは、パートナーである AZPower にとっても「Win-Win の関係性」を築くものだと話すのは、AZPower 営業本部 マネージャー 井上 幹 氏です。

「率直な話、私たちにしてもすべてのお客様をフルサポートするには、エンジニアが不足してきている状況です。今回のようにお客様による内製化を後押しさせていただき、その後のチャレンジにもパートナーとして併走させていただくことは、私たち AZPower の業態としても『今後あるべき姿』だと考えています。お客様が内製化されていれば、その時々に生まれたアイデアや仮説をコストの負担もなく、自由に試していただくことができます。その上でお困りのこと、お悩みのことがあれば、弊社はマイクロソフトから直接技術情報を得ているパートナーとして十分にサポートさせていただくことができます。新しい Win-Win の関係性が生まれたのではないかとワクワクしています」

1 Gbps の高速アクセス、運用保守の大幅な負担減、期待通りの費用対効果

こうして NBE の Azure 内製化プロジェクトは、為重氏により構築が進められた。2022 年 4 月に Azure Virtual Desktop をサービスインすると、11 月にはファイルサーバーも Azure 上に移行。そのほか、勤怠やコスト管理のシステムも Azure 上に移行することで、社内のほとんどのシステムがクラウド化を完了しています。

中でも、Azure Virtual Desktop については「期待通りの効果を生んでいる」と為重 氏は話します。

「まずパフォーマンスですが、まったくストレスなく仮想デスクトップを利用できるようになりました。ネットワークの速度も素晴らしく、1 Gbps も出ています。今までは、社内ポータルから申請を行う際にタイムアウトエラーが発生してしまうことがありましたが、今は月末などの特異日でもストレスなくアクセスできるようになりました。期待以上です。機能面において、ユーザー視点では『デスクトップのカスタマイズ』ができるようになったことが、非常に大きなポイントになっています。管理する側の視点からいえば、Azure Backup や Azure Analytics、Azure Monitor といったサービスのおかげで、バックアップや運用監視を効率化できるようになりました。ただし、Azure Analytics と Azure Monitor に関してはまだ試行段階です。サーバーのメモリ使用量が瞬間的に増大した際にはアラートがあがるような設定はしていますが、ログをどのように活用していくかは今後の課題ですね。例えば『総当たり攻撃 (Brute force attack)』受けた時のログはどう見ればよいのだろうか? など、これから学習すべき課題が数多く残っています」

また「構築中にリリースされたオートスケール機能のおかげで、構築の手間を大幅に削減することができた」と為重 氏。

「当初はサーバーに対するユーザーの割り当てを計算していたのですが、構築の途中でオートスケール機能が発表されたので『使ってみよう!』ということになりました。この機能を活用すれば、アクセス数に応じて自動的にスケールアップ / スケールダウンさせることができるので、性能とコストのバランスが取りやすく非常に便利です。まだ正式なリリース前の評価版だったのですが、私たちのシステムもゼロからスタートしたばかりだったので、気楽に試すことができました。苦労もありましたが、楽しかったですよ」

さらにコストについても「事前の想定通り」だと、為重 氏は続けます。

「従来のデータセンターのホスティングサービスを利用して運用した場合の月額と、ほぼ同じ金額で Azure Virtual Desktop を利用できています。それでいて、パフォーマンスや機能は比較にならないくらい向上していますし、サービスの改善やトラブルの解消に向けた “仮説検証” を行う際も、即時に検証環境用のサーバーリソースを用意することができます。これは本当に大きな違いです。導入時に生じたイニシャルコストも含めて、4 年ほどで回収できる計算になっています」

藤井 氏も「今後の運用管理コストが大幅に削減できるだろう」と期待しています。

「ほとんどのシステムをクラウド化したことで、サーバーハードウェアのメンテナンスから解放されました。今後、Azure Monitor など監視系のサービス活用が進めば、さらに運用保守の負担を減らすことができるでしょう。今までサーバーの御守りに費やしていた時間を減らし、社内業務のさらなる効率化を実現するような “企画” 業務に、為重が今まで以上に注力できる環境が実現できるようになることを期待しています」

柔軟性の高いシステム環境を実現し、良いサイクルへ

こうして、数多くの成果を生み出した NBE の Azure 内製化プロジェクトは、まだ終わったわけではありません。藤井 氏は、次のように話します。

「今後やっていきたいことの 1 つとして、Azure を PaaS (Platform as a Service) として活用していくことが挙げられます。最初のステップとして既存システムを Azure の IaaS 上に移行しましたが、仮想サーバーの運用保守業務が残っています。次のステップではPaaS に移行して、Azure 上に用意された多様なサービスをオーケストレーションするような形にして、今よりもさらに運用保守の負担を軽減したいと考えています。そして 2つ目は予算次第なのですが、Azure AD のプランを P1 にアップグレードできればと考えています。動的グループでのアクセス管理など、より高度で柔軟な権限管理ができるようになりますので、手間を抑えながら、より厳格なセキュリティを実現できるのではないかと想定しています。最後にもう 1 つ、試してみたいと思っているのは、構成管理をスクリプト化するInfrastructure as Code (IaC) によるシステム構成のバージョン管理です。これはすぐにでも試していきたいですね」

最後に、藤井 氏は次のように締めくくります。

「今回のプロジェクトを通じて、私たちは非常に柔軟性の高いシステム環境を手に入れることができました。例えば新しい社内システムを企画する際にも、サーバーリソース調達のリードタイムもなく開発に取り組むことができます。社内の要求に応じて、Azure 上に用意されたサービスを組み合わせて、新しいサービスを実現させるということもできるようになりました。社内システムを運用する上で、非常に良いサイクルに乗ることができたことが、今回の一番の収穫です」

“今回のプロジェクトを通じて、私たちは非常に柔軟性の高いシステム環境を手に入れることができました。社内システムを運用する上で、非常に良いサイクルに乗ることができたことが、今回の一番の収穫です。”

藤井 繁 氏, 総務部 情報システム課 課長, 株式会社NBE

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