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2023/08/31

世界各国で展開している Xbox のユーザー サポート業務を Dynamics 365 Customer Service に移行。世界共通の新システムが質の高いサポート提供と業務の効率化を実現

マイクロソフトは 2001 年に家庭用ゲーム専用機 Xbox を開発し、コンピューター ゲームを楽しむお客様に向けたサービス提供を行っています。現在は最新モデルの Xbox Series X|S の 2 機種を展開しており、世界各国に広がる Xbox ユーザーへのサポート窓口として「Xbox カスタマー サポート センター」が日々業務を行っています。同センターの業務は、顧客から寄せられた問い合わせに対して、「いかにスピーディーに、かつ的確に回答できるか?」が重要なポイントになるため、マイクロソフトでは、Xbox ユーザーの顧客満足度向上とセンターの業務効率化をめざす取り組みの一環として「Microsoft Dynamics 365 Customer Service」を世界各国のセンターに導入することを決定。さまざまな機能を統合し、一元管理できる新システムはセンターの効率的な運用を可能にするだけでなく、Xbox ユーザーのニーズを満たすサポート体制の充実に役立っています。

Microsoft Corporation

世界に広がるゲーム プラットフォーム Xbox のサポート体制を強化

Xbox は、マイクロソフトが提供しているコンピューター ゲームのブランドです。2001 年に米国で登場して以来バージョンアップを重ね、世界的なゲーム プラットフォームとしてファンの支持を集めています。日本でも「第四世代」として 2020 年に発売されたゲーム専用機 Xbox Series X|S の販売好調に加え、定額制でいつでも数百種のゲームを楽しめる Xbox Game Pass の加入者も順調に増加するなど、着実な成長を遂げつつあります。
マイクロソフトでは世界各国に設置された Xbox カスタマー サポート センターを拠点に、電話やチャットを使ってユーザーからの問い合わせに対応していますが、数百本以上の Xbox 用のゲーム コンテンツへの対応、さらに Xbox 本体も複数の専用機があることから、問い合わせの種類や内容も多岐にわたるため、日々の業務は多忙をきわめており、早急な改善が求められていました。具体的な課題としては、

  • システム (各国で異なるシステムを導入しているため、業務効率が低下する)
  • 管理 (情報管理の仕組みが複雑になり、かつ運用が難しい)
  • レスポンス (問い合わせに対する回答や、データ集計に時間がかかる)

などが挙げられます。これらの課題を解決するため、マイクロソフトでは Xbox カスタマー サポート センターのシステムを Dynamics 365 Customer Service に移行することを決定し、検討を開始しました。

Dynamics 365 Customer Service に移行することで電話・チャット・Web を一元管理する体制を整備

Xbox カスタマー サポート センターへの新システム導入にあたり、マイクロソフトでは旧システムの運用で明らかになった課題を解決するとともに、めざすべき方向性を明確に打ち出すことを重視しました。Xbox のカスタマー サービス責任者 Ivo Koster 氏は、次のように語ります。

「私たちがめざす最大のテーマは “顧客満足の向上” です。お客様の問い合わせにすばやく、的確に対応することは評価を高めるとともに、トータルで満足度の向上につながると考えました。旧システムは残念ながら社内でも “(スピードが) 遅い、(予算が) 高い” と言われていて、このままではお客様に満足いただくどころか、不満やストレスを与えてしまうのではという危機感をもっていました。このため、新システムでは私たちが保有している Dynamics 365 Customer Service の機能をフル活用し、センター運用の効率性を高めることに注力しました」。

Dynamics 365 Customer Service は、AI と自動化を活用してエージェントの解決にかかる時間を短縮し、カスタマー エクスペリエンスの変革を実現するサービスです。主な機能としては、

  • エージェントの負担軽減 (Dynamics 365 Copilot、リアルタイム インサイト、サポート案件管理ほか)
  • インテリジェントなセルフサービス導入 (対話型チャットボット、対話型 IVR ほか)
  • サービス業務最適化 (顧客・チャネル分析、会話分析、ロボティック プロセス オートメーションほか)
  • 顧客に便利な方法での対応 (音声チャネル、デジタル エンゲージメント、リアルタイム翻訳ほか)
  • 顧客に自らの理解を提示 (顧客の全体像、顧客体験分析、感情分析ほか)

などが提供されています。これらの機能のうち、いくつかは旧システムでも導入されていますが、それぞれが独立したツールとして運用されることから効率低下が課題になっていました。センターに所属するオペレーターからは「ツールごとに画面を切り替えていると “間” が空いてしまい、結果的に対応が遅れてしまう」との意見も出ていました。新システムでは顧客情報、ナレッジ、チャットなど、問い合わせへの対応に必要なツールをまとめてブラウザに表示し、タブの切り替えで使い分けるスタイルが採用されました。

新システムへの移行は 2021 年 7 月からスタートし、テスト期間を経て 2022 年 3 月から日本のカスタマー サポート センターでも運用が開始されました。マイクロソフト コーポレーションのテクニカル サポート Ronn Mercer 氏は、移行に際して苦労した点について以下のように振り返りました。

「お客様からの問い合わせは多種多様なので、新システムには高い柔軟性が求められます。また、電話、チャット、Web サイトという 3 つの異なるシステムを統合した運用を可能にするため、まずはセンターのスタッフにシステムの仕組みを十分理解してもらう必要がありました。なかでもチャットのシステムは複雑なため、研修はかなり大変でした。新システムはまず英語版が開発され、続いて各国語に展開したのですが、日本では言葉だけでなく、ビジネス慣行として “お客様に熱意あるサポートを提供する” という姿勢が若干弱いのではという印象があったので、この点も改善につながるよう努力しました」。

対応速度がアップしサポート品質も向上。顧客感情の見える化で「温度」を把握

稼働開始から 1 年が経過した Dynamics 365 Customer Service の新システムは、Xbox カスタマー サポート センターの業務スタイルを大きく変容させています。Koster 氏は導入の効果について「新システムの活用により、お客様の問い合わせに対応するスピードが上昇した点が最大の効果です。サポートに必要な各種情報をすばやく参照し、最適な回答をお届けする環境が整備されたことは、サービス全体の顧客満足度向上に貢献していると思います」と述べます。

現場で対応するオペレーターは、アカウント、履歴といった顧客情報を確認しながらナレッジベース (業務に関する知見をまとめたデータベース) を検索し、的確なアドバイスを実施します。個別にツールを立ち上げる必要がなく、会話しながら自然な形でサポートできるため、顧客が感じるストレスは旧システムと比較して明らかに改善されています。
新システムでは顧客の微妙な感情変化 (満足、普通、不満) について、会話中に出てくる特定のキーワードから AI が状況を判断し、画面の文字色やピクトグラムでスタッフに知らせる機能が搭載されています。これにより、回答に対する満足度がリアルタイムで把握できるほか、必要に応じてスーパーバイザーによるフォローやエスカレーションなども実施できるため、管理面でもよりスムーズな対応が可能になりました。
また、問い合わせの内容によっては、実際に顧客の端末にリモート アクセスして詳細を確認したり、センター内に設置された検証機を使って動作を再現する必要が出てきます。新システムでは対応履歴がタイムラインの形で表示され、過去にどのような対応が行われてきたのかを時系列で把握することが可能です。待ち時間発生は顧客にストレスを与えることにもつながるため、これまでの状況を確認しながらサポートできる新システムの機能は、運用効率化に成果を上げています。ほかにも、センターのスタッフからは「各ツールの起動スピードが上がった」、「常に最新情報が更新されるため便利」といった声が寄せられています。新システムはカスタマー サポート業務全体のレベルアップに役立っていると言えるでしょう。

生成 AI の活用やさらなる機能強化で Xbox ファン獲得の起爆剤に

今回ご紹介した Xbox カスタマー サポート センターでの導入事例は、Dynamics 365 Customer Service の機能を活用していくうえでいくつかの重要なヒントを示しています。Mercer 氏は以下のように語ります。
「サポート センターにおいて、顧客満足度を高める最善の方法は “(抱えている問題を) 解決できるか ? ” にあります。これは当然ですが、スピーディーに、かつ低予算で実現できるかどうかは、導入するシステムがもつ機能に左右されると言えます。たとえば 新しく導入した生成 AI 搭載の Dynamics 365 Copilot は、正確な情報をお客様にお届けするために役立つ仕組みです。これが進化することでさらにスピードが上がり、お客様との会話を中断することなく回答が導き出される環境が構築できるでしょう。また、顧客対応で得られた知見はサポート センターだけでなく、企業のさまざまな部門で活用できる貴重な財産になります。私たちは商品開発や販売などオムニチャネルでの展開を進めるとともに、外部のパートナーとも連携し、Xbox のアドボケート (支持者) を増やす活動を継続したいと考えています」。
マイクロソフトでは、今後も世界の Xbox ユーザーから寄せられる問い合わせに対応する環境整備を進めるとともに、Dynamics 365 Customer Service の機能強化を図り、企業のさまざまなニーズに対応していく計画です。

“顧客満足度を高める最大のポイントは、お客様が抱える課題をすばやく解決することです。 Dynamics 365 Customer Service の導入により対応速度が上がるとともに、一度の問い合わせで解決するケースの増加で Xbox に対する信頼性が向上し、さらなる事業発展につながることを期待しています。”

Ivo Koster 氏, Director for Product Quality and Customer Services, マイクロソフト コーポレーション

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