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2023/10/06

AMM を活用して、オンプレミス仮想サーバー環境からAzureへのシステム移行を完遂!さらなるDX化を推進する横河電機

2021 年からの中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の DX 戦略において、インターナル(社内)とエクスターナル(社外)の両面で DX を推進してきた横河電機。DX 化の一環として取り組みを進めたのが、オンプレミス仮想サーバー環境から社内システムの Microsoft Azure への移行です。社内システムとして運用してきた  770  台以上の仮想サーバーのうち、移行が必要と判断した 330 台以上のサーバーを Microsoft Azure へ移行、 約 700 台の仮想デスクトップ環境(VDI)を Azure Virtual Desktop(AVD)ヘと移行しました。さらに SAP ERP の Azure 移行にも取り組んでいます。 同社を支えたのは、Azure に強みを持つ日本ビジネスシステムズ(JBS)とマイクロソフトの支援プログラムAzure 移行およびモダン化プログラム Azure Migrate and Modernize : AMM(旧称 AMMP:Azure Migration & Modernization Program)でした。

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マルチクラウド戦略を推進するなか、社内システムの Azure 移行を完遂

1915 年の創業以来、「品質第一主義」「パイオニア精神」「社会への貢献」を創業の精神に掲げ、社会の変化をいち早くとらえ、自らを変革しながら成長を遂げてきた横河電機。創立 100 周年を迎えた2015年には、コーポレートブランドスローガンとして「Co-innovating tomorrow」を設定しました。現在ではエネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフ、測定器、新事業の各事業領域でビジネスを展開しています。 

また、2021 年には 2023 年度を最終年度とする中期経営計画「Accelerate Growth 2023」を策定、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていくことを目指し、IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy)や Smart Manufacturing、Internal DX ・ビジネスモデル変革などの取り組みを進めてきました。

この Accelerate Growth 2023 の一環として、社内 IT 部門であるデジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティ部が取り組んだのが、社内システムのクラウド移行や、Microsoft 365 や Azure Virtual Desktop(以下、AVD)を活用したワークスタイル変革の取り組みです。

デジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 クラウド推進課 課長 二木 隆夫 氏はこう話します。

「社内で利用するさまざまなシステムをプライベートクラウ(オンプレミス仮想サーバー)環境で安定的に運用してきましたが、ハードウェアのリプレースと  Accelerate Growth 2023 の推進を背景に、パブリッククラウドへ移行することを決めました。パブリッククラウド移行で目指したのは、基盤の継続的な安定運用 やトータル IT 運用コストの最適化、インフラ基盤のセキュリティ強化、仮想デスクトップ環境の高度化などです」(二木 氏)。

横河電機では、インターナル DX やエクスターナル DXを進めるうえでマルチクラウド戦略を採用しています。例えば、データ活用のためのデータレイク基盤は IT システム向けと OT(Operational Technology)システム向けで異なる 2  つのパブリッククラウド基盤を採用し、両者を連携する構成です。

「プライベートクラウド環境で運用してきた社内システムや一部のオンプレミスシステムの標準移行サポート先して採用したのが Azure です。既存環境との親和性の高さや旧 OS に対する拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の無償提供、認定パートナーによるサポート体制等を考慮し、選定しました。移行先のクラウドは特に限定していなかったのですが、標準移行サポートを Azure にしたこともあり、結果的に多くのシステムが Azure に移行することになりました。パートナーである日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)さんの力を借りながら、マイクロソフト製品の親和性を生かした取り組みを進めているところです」(二木 氏)。

古い Windows Server を含む社内のオンプレミス仮想サーバー約 330 台を Azure の IaaS 環境に移行

横河電機では、社内システムの Azure 移行に関し、大きく三つのプロジェクトを推進してきました。一つ目はプライベートクラウド環境で稼働していた社内システム用の 770 台以上の仮想サーバーのうち、移行が必要と判断した 330 台以上のサーバーをパブリッククラウド  (主に Azure)や新プライベートクラウドへ移行するプロジェクトです。二つ目はテレワークやリモートワークが必要な社員向けに提供していた約 700 台の仮想デスクトップの Azure 移行です。三つ目は基幹システムとして採用している SAP システムの Azure 移行です。このうち、2023 年 3 月までに完遂したプロジェクトが仮想サーバーの Azure 移行と仮想デスクトップの Azure 移行となります。

仮想サーバーの Azure 移行をリードしたデジタル戦略本部グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部クラウド推進課  野口 龍太 氏 は、こう話します。

「2022 年 3 月にそれまで使用してきたプライベートクラウド 基盤のハードウェアの保守サポートが切れるため、その 2 年ほど前から検討を開始しました。クラウド移行では、リプレースに伴う機器購入がないとはいえ、移行作業にも費用が発生します。また、仮想サーバーは利用部門にサービスとして提供していたため、サーバーのオーナーや管理者が事業部門に複数存在しています。管理者は 100 名を超える規模で、Windows Server 2008 を延命稼働している部署もあり、環境も複雑化していました。そのため、予算確保や社内リソースの確保、社内外の関係者との調整、資産の棚卸しなど、事前準備をしっかり行って計画的に移行を進める必要がありました」(野口 氏)。

オンプレミス仮想サーバー環境は VMware 基盤の IaaS サービスで、機器の運用や保守メンテナンスはプライベートクラウド事業者が行っていました。稼働環境としては Windows Server のファイルサーバー、Web サーバー、各種システムで利用する SQL Server、Active Directory(AD)サーバー、Microsoft SharePointサーバー、DR 環境向けサーバー、仮想デスクトップ向けサーバーなどです。

クラウドからクラウドへの仮想マシン移行とはいえ、環境が複雑で、異なる事業者の異なる基盤への移行となるため、ネットワーク構成やセキュリティ設定、運用管理体制、サポート体制などを見直す必要があったと言います。

「移行に伴うさまざまな課題を乗り切るために、JBS さんに移行サポートをお願いしました。JBS さんはマイクロソフト製品に対する知見やノウハウ、実績を豊富に持っています。また、マイクロソフトが提供する移行支援プログラムを活用して、技術面だけでなく、事前準備の段階から環境のアセスメントや移行方法などをアドバイスする体制も備えています。さまざまな課題にトータルでサポートいただけることが大きな魅力でした」(野口 氏)。

プライベートクラウドの VDI 約 700 台をアセスメントして Azure Virtual Desktop に移行

仮想デスクトップの Azure 移行も、仮想サーバーの移行と並行して進められました。仮想デスクトップサービスの管理者であり、Azure 移行をリードしたデジタル戦略本部グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 ワークスタイルイノベーション課 賀嶋 佑二 氏 は、こう話します。

「仮想デスクトップは、リモートワークを行う社員を中心に提供していたサービスです。プライベートクラウド環境の VMware Horizon と Citrix  XenApp を併用して、リモートワークが必要な社員に約 700 台の仮想デスクトップと1000セッションの仮想アプリケーションを提供できる仕組みでした。仮想ホストとなるサーバー台数は約40  台で一般業務においては パフォーマンスや品質の面でも特に問題なく安定的に運用することができていました。ただ、コロナ禍でテレワークやリモートワークのニーズが高まったことで、将来的にリソースが不足することが予測されました。また、2022 年 3 月にソフトウェアライセンスが切れるという事情もありました。そこで、仮想サーバーのクラウド移行に併せて、VDI から仮想デスクトップサービス(DaaS)に移行することを決めたのです」(賀嶋 氏)。

DaaS として採用したのが Azure Virtual Desktop(以下、AVD)です。採用の背景には、仮想サーバーの移行と並行して Azure に移行することで、移行作業や移行コストを最適化しながら、将来的な利用拡大を図っていきやすいことにあったと言います。

「在宅勤務向けに提供し始めたサービスですが、リモートアクセス環境が整備されていくと、さまざまな使い方が可能になります。例えば、支給している PC が故障した時に、申請すればすぐに仮想デスクトップを払い出すことができます。また、海外のアウトソーシング先など、物理的に PC を配布できないような環境に対しても仮想デスクトップならスムーズに提供可能です。実際に今は、在宅勤務者にとどまらず、社内ネットワークに一時的にアクセスする必要のある外部パートナーや海外のアウトソーシング先などさまざまな用途で利用されるようになっています。AVD は柔軟性や拡張性が高い上、Azure サービスとして同じ環境でサポートを受けられるため、管理者側の負担を大きく減らせることがメリットです」(賀嶋 氏)。

ただ、当初は、既存 VDI をどう移行するか、どの DaaS を選定すればいいかなど検討課題が多かったと言います。

「そこで JBS さんに相談し、サービスの選定から移行までをサポートいただきました。JBS さんのサポートがなければ、これほどスムーズな移行はできなかったと思います」(賀嶋 氏)。

ユーザーコーディネーターとして複数プロジェクトをサポートした JBS を高く評価

野口 氏は、仮想サーバーの Azure 移行で、JBS のサポートが特に役立ったのは技術サポートとユーザーサポートだと言います。

「クラウド上でのパフォーマンスや品質をどう担保するか、DR をどう構成するかなど、技術面では数え切れないほどの困難に直面しました。そうした際に、例えば Azure Site Recovery を使って効率良く DR サイトを構築するといったアドバイスをいただきました。構築が終わった運用段階でも、月次処理で想定した以上にパフォーマンスが求められることもありましたが、JBS さんのサポートのもと、必要に応じて特定の SQL Database を Premium SSDに切り替えるといった対応で乗り切ることができました。また、ユーザーサポートの面でも大変心強く、特に利用部門へのヒアリングや調整などを引き受けてくれたことは大きな助けとなりました。100 名を超える関係者との調整がスムーズに進み、期日のあるプロジェクトをトラブルなく終えることができました」(野口 氏)。

これに対し、JBS のハイブリッドクラウド本部ハイブリッドクラウド1部2グループマネージャー 関根 亮 氏は、こう話します。

「ユーザーコーディネーターとして、ユーザーの立場でシステムのクラウド移行に必要な取り組みを説明させていただきました。横河電機様は、電機メーカーという立場もあってか、長く利用されてきたマイクロソフト製品の知識はもちろん、多くの社員の方がクラウドに関する知見をお持ちでした。クラウド移行がスムーズだった要因の一つだと思います」(関根 氏)。

賀嶋 氏は、仮想デスクトップの Azure 移行で、JBS のサポートが役立ったのは、的確なアドバイスをもらえたことだと言います。

「JBS さんのアドバイスをもとに、700 台のうち必要なものに絞って最終的に 300 台を新規に構築することにしました。また、構築後のデータ移行も、ユーザー自身に作業を担ってもらう方法で、移行期間を大幅に短縮できました。今では、申請があればすぐに払い出せる環境が整っていて、1000 台規模でもスムーズに拡張できる体制です」(賀嶋 氏)。

これに対し、JBS の製造・流通本部 製造流通3部 部長 蜂須賀 将善 氏はこう話します。

「複数のデスクトップを 1 台の仮想マシンで提供するマルチセッションを活用してコストを最適化しています。一方で、リソースが必要な環境はシングルセッションですぐに利用できるような柔軟性も備えています。将来的には、IA2IA や Smart Manufacturing を進める横河電機様に適したデスクトップ環境の提供も可能です」(蜂須賀 氏)。

Azure 移行およびモダン化プログラム(AMM)を複数プロジェクトで活用、Azure の価値を最大化

このように横河電機の取り組みを強力に支援する JBS を後方サポートしたのがマイクロソフトがAzure への移行やモダナイズを進めるお客様に提供する、Azure 移行およびモダン化プログラム(Azure Migrate and Modernize : AMM)です。AMM は、マイクロソフトのクラウド導入フレームワーク(Cloud Adoption Framework : CAF)に準拠したアプローチで、移行計画の支援から実際の移行プロジェクトまでをサポートするものです。

JBSのソリューション推進本部 Azure/ビジネスソリューション部 1課 主任 浅井 理美 氏はこう話します。

「AMM の特徴は、無償のソリューションアセスメントを提供することや、エンジニアが技術支援を行う FastTrack for Azure の提供、CAF のワークショップ、技術スキルの教育プログラム Skilling の提供、プロジェクト費用の一部負担などです。横河電機様は、特に FastTrack for Azure を複数のプロジェクトで利用され、今回のように仮想サーバーの Azure 移行から、仮想デスクトップの Azure 移行などを統合プロジェクトのように実践されました。現在は SAP ERP  への移行で、AMM を活用されています」(浅井 氏)。

Azure 移行の効果は、コスト最適化、 デリバリー、パフォーマンス、安定性、冗長性といった面で現れています。ディスカウントプログラムやセービングプランを活用しながら、IaaS の利用料金を最適化するとともに、サービスのデリバリーについても、Azure Logic Apps を使った運用自動化や標準ルールの策定に取り組んでいます。ハードウェアやソフトウェアの期限を理由にしたリプレースも不要になりました。

Azure 移行プロジェクトの次に見据えるのは、Azure に移行したシステム基盤のさらなる活用です。二木 氏は現在の取り組みと今後をこう展望します。

「社内システムが Azure に移行したことで、これまでは難しかった取り組みもできるようになってきています。例えば、海外アウトソーシングで利用している企業が、海外から AVD を利用して VDI 環境を急速に立ち上げて利用するようになったり、技術部門が CAD などを AVD で利用する動きも進みつつあります。IT 部門として取り組んでいるのは、パブリッククラウド活用の利便性を維持しながらさらなるコスト最適化を図っていく FinOps です。コストの見える化や分析のために FinOps の取り組みを本格的にスタートさせたところです」(二木 氏)。

「Accelerate Growth 2023」の 3 年目の目標達成、それに続く新たな中期経営計画のもと、さらなる変革に取り組む横河電機を JBS とマイクロソフトが今後もサポートしていきます。

FastTrack for Azure(FTA)は終了したプログラムで、現在は提供されていません。

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