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2024/04/17

Microsoft Viva Insights の導入と Microsoft Unified Support の活用による NTTコミュニケーションズの Well-being の最大化と働き方改革への挑戦

1999 年に NTT のグループ会社として設立された NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、2019 年のグローバル再編を経て 2022 年にドコモグループの法人事業の中核を担う企業となり、ICTの活用による都市圏のエンタープライズ企業だけでなく、中小企業も含めた全国の顧客の課題解決やスマートな社会の実現を担う企業となりました。

「人と世界の可能性をひらくコミュニケーションを創造する。」をビジョンとして掲げているとおり、同社においてコミュニケーションを深めて互いを理解することは欠かせない営みです。これは対顧客のみならず 2 万人近くの従業員に対しても同様であり、同社ではこれまでも、すべての従業員が Well-being を感じられる職場環境を整えるために、さまざまな取り組みを行ってきました。

同社では現在、Microsoft Viva Insights を活用し、可視化されたデータを元にしたデータ ドリブンな働き方改革を加速しています。その背景には、人材・組織開発部門と情報システム部門の綿密な連携と、マイクロソフトのサポートサービス「Microsoft Unified Support」の徹底活用がありました。

NTT Communications

コロナ禍においても従業員エンゲージメントが向上

NTT Com では、生産性向上アプリに高度なセキュリティ、コンプライアンス、音声通信、分析機能を組み合わせたMicrosoft 365 E5 を全社で導入。ゼロトラストなセキュリティを実現する「セキュアド PC」と呼称される同社独自のシステムと組み合わせることで、社外からでもセキュアに業務ができるソリューションを構築しました。(関連記事

もともとは 2020 年の世界的なスポーツの祭典開催時の在宅勤務を念頭に置いたソリューションでしたが、結果として、新型コロナウィルス感染症の流行に伴う緊急事態宣言発令後のリモート ワーク態勢への、いち早い対応ができました。

2020 年に実施した従業員エンゲージメント調査では従業員満足度が大幅に上昇。その傾向は女性従業員に顕著で、2021 年には調査を開始後初めて、女性従業員満足度の結果が男性を上回りました。

この調査結果について、NTTコミュニケーションズ株式会社 ヒューマンリソース部 人材・組織開発部門担当課長の小松 真喜氏はこう分析します。

「2020 年当時は、コロナ禍に伴う環境の変化や社会的な雰囲気からエンゲージメントが下がることを懸念していたのですが、生産性や会社への信頼度といった多くのバロメーターで過去最高を記録しました。いち早くリモート ワークに関するヒントやマナーを共有したことや、男女問わず平等な働き方を実感できるリモート ワーク体制を構築できたことなど、コロナ禍以前から準備してきた取り組みがこの結果に結びついたのではないかと推察しています」(小松氏)

このような現象を鑑みながら、同社では行動制限が解除された後もハイブリッド ワークを推進。2022 年の段階で実に 80 % の業務がリモート ワークで行われるなど、場所にとらわれずに柔軟に働ける「新しい時代の働き方」を実現しています。

ワークスタイル変革のために HR データの可視化システムを構築

働き方改革が進むなか、ヒューマンリソース部(以下 HR)では、ハイブリッド ワーク下での生産性の確保や、従業員が生き生きと働くための環境づくりなどについて、さまざまな角度から検討を行ってきました。

その検討から導き出されたワークスタイル変革をさらに加速するための軸として、「オープンなコミュニケーション・マネジメントの定着」「フレキシブルな制度づくり」「オフィス環境の再定義」と並んで据えられているのが「DX・データ活用」です。

NTTコミュニケーションズ株式会社 ヒューマンリソース部 EX デザイン部門 部門長の髙橋 隆之氏は、働き方改革におけるデータ活用について、「総労働時間や休暇の取得状況、会議に参加している時間などをまず可視化することで、自分たちの働き方を客観的に見られるようになるのではないかと考えました。働き方のデータ化・OPEN 化のために、デジタル改革推進部と密にやり取りしながら、最適な方法を探りました」と語ります。

HR から相談を受けたデジタル改革推進部は、さっそく可視化システムの構築に着手します。第一段階として、業務ごとに点在するデータをデジタル化して集約し、テーマごとにデータ化。そのデータを Microsoft Power BI のダッシュボードで従業員に公開することにより、勤務表や残業時間といった HR データの可視化を実現しました。

可視化の先にある Well-beingを 実現するために Viva Insights を活用

しかし髙橋氏は、まだ理想には程遠いと感じていました。

「私たちが目指しているのは、データを活用した行動変容やデータドリブン経営の実現、そしてその先にある新たな価値の創造や、従業員の Well-being の最大化です。本当に効率的な働き方や、やりがいを感じながら一人ひとりが生き生きと働くことができる環境を実現するためには、可視化の次のステップに進む必要があったのです」(髙橋氏)

NTTコミュニケーションズ株式会社 デジタル改革推進部 情報システム部門 担当部長の豊嶋 剛司氏も同じ課題を感じており、その解決のためにはマイクロソフトのソリューションが有効ではないかと、髙橋氏に提案しました。

「第一段階のシステムでは勤怠などの HR データは読み取れます。しかし、日々の業務で利用している Microsoft 365 のデータ分析や活用が行えていませんでした。たとえば、Outlook の利用状況や Microsoft Teams で行われた会議の有効性や社内外のコミュニケーション状況などを可視化し、解析するためには、 Microsoft Viva Insights が活用できるのではないかと考えました」(豊嶋氏)

「まずは使ってみよう」から始まったチャレンジ

Viva Insights は、従業員の勤務中の行動を分析して、より高い生産性やよりよい働き方を実現するためのアイデアを提案する機能を持ったアプリで、Microsoft 365 ライセンスで利用できる個人向けの機能に加え組織ごとの分析が可能になります。

「製品リリースから間もなく、日本での活用事例も少なかったので、Viva Insights がどういった情報をどのような粒度でアウトプットできるのか分からなかったのですが、まずは使ってみてから詳細化していこうと考えました」と豊嶋氏。HR の関心度が高かった「1 on 1」「エンゲージメントスコア」「組織間コラボ」分野のデータの全社公開を目指してシステム構築を進めましたが、当初は苦労を重ねたと言います。

実装を担当した NTTコミュニケーションズ株式会社 デジタル改革推進部 情報システム部門の田中 琴雪氏は「特に Power BI でデータを描画する工程で苦労しました。マイクロソフトさんに用意していただいた手順書の通りにやってみても、それ以前のプロセスでやり方が間違っていたり、読み込ませたデータの量が多すぎたことが原因で想定外のエラーが出たりと、すぐにはうまくいかないこともありました」と振り返ります。

そんななかで役に立ったのは、マイクロソフトの技術営業による支援とマイクロソフトが提供する Microsoft Unified Support だったと言います。Unified Support は、クラウド化の促進、IT ソリューションの最適化、テクノロジーの利用を支援する包括的なエンタープライズサポートサービスで、年中無休で無制限のサービスリクエスト(一問一答の技術問い合わせ)を利用することができます。

田中氏は 「テキストでの質問回答でわからない部分は技術営業担当の原田さんと高橋さんにハンズオンでご説明いただいたり、Power BI のセミナーをご案内いただいたりと、手厚いサポートを受けることが出来ました。また、Unified Support の契約があり、サービスリクエスト(SR)を無制限に利用可能であったことも助かりました。もし サービスリクエスト に回数制限があったらそれを気にして問い合わせを自重してしまい、時間を浪費することもあったと思います」とマイクロソフトのサポートを評価。

また、豊嶋氏も「対応がとても丁寧でした。すぐにはわからないことがあったとしても、本社に問い合わせるなどして必ず回答を返してくれるので、ありがたかったですね」と語ります。

大切な先行事例として、きめ細かいサポートを実施

日本マイクロソフト株式会社 カスタマーサクセス事業本部 シニアカスタマーサクセス アカウントマネージャ 小野 聡美は、NTT Com の働き方改革の支援に大きなやりがいを感じていたと言います。

「NTT Com さまのカルチャーは、1 on 1 を大切にする点などマイクロソフトと通じるところが多く、ハイブリッド ワークへのアプローチに至っては弊社より先行されている部分も多かったため、私たちとしてもご支援が学びにつながっていました」(小野)

日本マイクロソフト株式会社 クラウド & AI ソリューション事業本部 モダンワーク統活本部の原田 歩と高橋 孝幸も、大規模かつ先進的な事例という認識のもと、きめ細かいサポート体制を整えて対応していると続けます。

「データを取得するための Viva Insights とそれを可視化する Power BI という、ふたつの製品を使ったシステムですので、どちらの製品に問題があるのかお客様には判断がつきにくい場合があります。いただいた質問を吟味して、Power BI は私、Viva Insights は高橋が分担して回答するなど、マイクロソフト内でも連携を図ってご支援を心がけました」(原田)

まずは文化を醸成し、一歩一歩変革を進める

こうしてシステムはリリースを迎え、エンゲージメント調査の結果と Teams を通したコミュニケーション データとの相関を可視化したダッシュボードを全社に公開しました。ただ、今はまだデータをどう用いてどう行動変容すべき、といった規定をする時期ではないと高橋氏は語ります。

「働き方のデータから何を導き出し、どのデータに比重を置くのかは、個人やチームによって異なりますし、そこに正解はありません。ですから、まずは可視化されたデータをもとに、みんなで考えて議論することを呼び掛けて、データ ドリブンなチームづくりの土台となるデータを基に対話する文化の醸成を図りたいと思っています」(髙橋氏)

Viva Insights の活用によって得られた収穫もありました。1 on 1 の実施時間、そしてコラボレーションに費やされた時間とエンゲージメントスコアとの間に、緩やかな相関傾向があることが見えてきたのです。

「これまでの調査では、チームによって数値に差がつく理由まではわかりませんでした。Viva Insights によって会議の時間や内容が可視化されたことで、1 on 1 に力を入れているチームはエンゲージメントが高い可能性が示されたのです。この相関が正しいかどうかを判断するのは尚早ですが、リーダーがチーム マネジメントの改善を意識するきっかけになるのではないかと期待しています」(小松氏)

また、Viva Insights の付帯機能により、全社員に向けて、前週の働き方から導き出された行動提案メールが毎週月曜日に届くようになったことで、個人の働き方に変化の兆しが見られていると言います。

「その文面には、先週行ったコミュニケーションの内容や 1 on 1 の実施状況、スケジュールの合間に自分の作業に集中する「フォーカス タイム」を入れる提案などが書かれています。それを行動のヒントにする従業員も増えており、徐々に活用は広がっていると感じます」(小松氏)

「これは私の場合なのですが、対面であれば周囲も自分も自然と移動や休憩を考慮したスケジュールで動けますが、リモートワークで Teams 会議中心だと、ついスケジュールを詰めすぎてしまい、気がついたらまったく余白の時間がないといったことが往々にしてあるんです。そこに Viva Insights からフォーカスタイムを提案してもらえると、リフレッシュしたり頭を整理したりする時間が必要なことに気づける。とても良い機能だと思います」(髙橋氏)

常に先を見据えた挑戦を続け、高みを目指す

今後の展望について、「デジタル改革推進部ではデータ ドリブンな働き方改革をさらに探求し、新しい働き方や制度やルールに必要な ICT 環境づくりを継続的に実施していきたいと考えています」と豊嶋氏。さらに、Well-being は個人によって異なり、仕事の位置付けも個人によって異なるということを前提とした可視化システムの構築に取り組みたいと意欲を語ります。

「そのためには AI が有効だと考えています。Copilot in Microsoft Viva を活用して、AI と従業員個人との会話を通して一人ひとり異なる理想の働き方を支援するソリューションの構築に取り組んでいきたいですね」(豊嶋氏)

また HR では、新たに組織開発ワーキンググループを全社横断で立上げ、これまでは年に 1 回だったエンゲージメント調査を四半期ごとに実施し、状態の把握、アクションに繋げられるデータをタイムリーに従業員に届けることを目指しています。

「一人ひとりが生き生きと働き、Well-Being を感じられる職場を構築するためには、データによる裏付けが有効です。データ ドリブンな組織づくりを通して従業員の成長を促し、それが企業としての成長につながり、さらに従業員のエンゲージメント向上につながる。そんなサイクルを築いていきたいと思います」(髙橋氏)

「まずは使ってみる」という豊嶋氏の言葉に表れているように、常に時代の先を読みながら新しい価値を生み出すためのチャレンジを続け、企業としての高みを目指す NTTコミュニケーションズ。きっとこの先も、私たちの規範となる偉大な先達であり続けてくれることでしょう。

“一人ひとりが生き生きと働き、Well-Being を感じられる職場を構築するためには、データによる裏付けが有効です。データ ドリブンな組織づくりを通して従業員の成長を促し、それが企業としての成長につながり、さらに従業員のエンゲージメント向上につながる。そんなサイクルを築いていきたいと思います”

髙橋 隆之 氏, ヒューマンリソース部 EXデザイン部門 部門長, NTTコミュニケーションズ株式会社

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