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2024/12/03

Microsoft 365 Copilot と GitHub Copilot で実現。ネクサスエージェントの AI 活用戦略

創業以来、デジタル技術の活用を重要なテーマとして掲げるネクサスエージェントは、生成 AI の可能性に早くから着目し、自社製品の開発および社内業務での活用を検討。生成 AI の進化に適応しなければ競争力を失うと危機感を抱き、いくつかの生成 AI ツールを吟味した。

Microsoft 製品から直接生成 AI を呼び出すことができるため、従業員が新しい技術に抵抗感なく触れられ、日々の業務の中ですぐに活用できる点が決め手となり、Microsoft 365 Copilot と GitHub Copilotを採用。

特にテスト開発の効率化、チームメンバー間の情報共有と理解促進、経験の少ないエンジニアのスキル向上、さらにプログラムのデプロイ頻度の向上にも大きく貢献し業務効率が大幅に向上。社内デモや研修も功奏し、従業員活用も進んでいる。

Nexus Agent

デジタル技術と独自の開発力で不動産業界に革新をもたらす

「不動産を通じて、価値を提供し、世界を変えていく」をミッションとして掲げるネクサスエージェント。同社のサービスである不動産情報を可視化してその価値を最大化する不動産 WEB流通プラットフォーム「イエリーチ」や、従来の公的年金システムの課題に対応する不動産クラウドファンディング「みんなの年金」は、創業当初から培ってきた不動産業界での強みとデジタル技術を融合させた画期的なサービスです。

同社では生成 AIの可能性に早くから着目しており、自社製品の開発および社内業務での活用を検討。2024 年春に日本でリリースされたマイクロソフトの生成 AI業務ツール Microsoft 365 Copilot(旧:Copilot for Microsoft 365)と生成 AIプログラミングツール GitHub Copilotを導入し、自社の成長と新しい価値の創出に役立てています。

2016年の創業以来、同社ではデジタル技術の活用を重要なテーマとして掲げており、現在在籍する 200名強の従業員のうち 1割以上が技術開発部に所属しています。その理由について、株式会社ネクサスエージェント 取締役 兼 技術開発部 部長 河野彰氏は次のように説明します。

「不動産会社は世の中にいくらでも存在します。既存の価値提供では、シェアを取り合うだけです。デジタル技術は新しい価値を創出する鍵であり、デジタル技術を活用することでお客様により大きな価値を提供できると考えるからです」

河野彰氏, 取締役 兼 技術開発部 部長, 株式会社ネクサスエージェント

"Microsoft 製品のユーザーインターフェースから直接生成AIを呼び出すことができるため、従業員が新しい技術に抵抗感なく触れられる点、日々の業務の中ですぐに活用できる点が最大のメリットであり、決め手となりました"

河野彰氏, 取締役 兼 技術開発部 部長, 株式会社ネクサスエージェント

同社は、市場に向けたサービスだけでなく社内の基幹システムも独自に開発・運用をおこなっています。「競合優位性を生み出す業務については、独自のシステムとオペレーションを構築しています。システム開発を内製開発組織が担うことで、PDCAサイクルを素早く回し、業務効率を上げ続けています」と河野氏。

同社は、市場に向けたサービスだけでなく社内の基幹システムも独自に開発・運用をおこなっています。「競合優位性を生み出す業務については、独自のシステムとオペレーションを構築しています。システム開発を内製開発組織が担うことで、PDCAサイクルを素早く回し、業務効率を上げ続けています」と河野氏。

その言葉を裏付けるように、同社では少なくとも 1日に数回のソフトウェアデプロイメント(デプロイ)をおこなっているとのこと。「私たちは、“デプロイの頻度”“変更のリードタイム”“変更失敗率”“デプロイ失敗時の復元までの時間”のいわゆる“Four Keys(※)”を指標としており、なかでもデプロイ頻度は最重要視しています」(河野氏)。同社ではデプロイ頻度とプロダクトの質の向上を目指し、プロセスの自動化による作業負担軽減と頻度向上、PDCAサイクルの迅速化、社内フィードバックの活用によって、新機能の迅速な反映とプロダクトの改善を図っているといいます。

DORADevOps Research and Assessment)が提唱している、ソフトウェア開発チームのパフォーマンスを測る 4つの指標

小笠原拓哉氏, 技術開発部 プロダクト開発運用課 課長, 株式会社ネクサスエージェント

"GitHub Copilot のテストコード自動生成機能を使うことにより、検証、改善のプロセスが迅速化でき、早期のバグ発見や修正が可能になります"

小笠原拓哉氏, 技術開発部 プロダクト開発運用課 課長, 株式会社ネクサスエージェント

生成 AIに衝撃を受け、Microsoft 365 Copilotを全社導入

自分たちでシステム開発をおこない、あらゆる方法を探りながら精度の向上や作業プロセスの効率化を追求してきた同社にとって、生成 AIの可能性に着目したのは自然な流れだったといえます。「ChatGPTの登場は衝撃的でした」と河野氏は振り返ります。

「ChatGPTがリリースされたときには、“これはとんでもないことが起きる”と確信しました。生成 AIの進化に適応しなければ競争力を失うと危機感を抱き、すぐに経営会議にり、とにかく触ってみてほしいと経営陣に訴えかけました」と河野氏。いくつかの生成 AIツールを吟味したうえで、「未知のものに関しては、なにより実際に触れるタッチポイントを増やすことが重要」と判断し、Microsoft 365 Copilotと GitHub Copilotについても導入を進めることになりました。

具体的な採用理由について、河野氏は次のように振り返ります。「Microsoft 365 Copilotと GitHub Copilotは当社の多くの業務で使われている Microsoft製品のユーザーインターフェースから、直接生成 AIを呼び出すことができるため、従業員が新しい技術に抵抗感なく触れられる点、日々の業務の中ですぐに活用できる点が最大のメリットであり、決め手となりました」さらに「Microsoft製品に蓄積されたデータとの連携性の高さもメリットだと感じました」と評価します。

GitHub Copilotの導入をリードしたのは、株式会社ネクサスエージェント 技術開発部 プロダクト開発運用課 課長の小笠原拓哉氏。同氏にとって生成 AIは、まるで「知識の高速道路」のように感じたといいます。

「私はエンジニアとしての経験がまだ浅いので、疑問を解消するために Webで検索をする機会が多々あります。従来 Webで複数の記事を読み込まなければ答えに辿り着けなかった疑問も、生成 AIでは一度のプロンプトで回答を得られることもあります。率直に“これはすごい”と感じましたし、“使いこなせなければエンジニア生命にも関わる”という危機感すら覚えました」(小笠原氏)

生成 AIを使い始めた当初は、慣れたインターネット検索や手入力のソースコードにこだわるエンジニアも多かったそうです。しかし導入された GitHub Copilotは、従来タブを切り替えて情報を検索する必要があった作業が、直接 Copilotにアクセスしてコードの情報などを調べられる操作性の良さなどから、作業の効率化が図られ、利用が広まったといいます。

小笠原氏によると、特に便利だと感じているのは「テスト開発の効率化と、チームメンバー間の情報共有と理解促進、そして経験の少ないエンジニアのスキルの底上げ」だといいます。

「GitHub Copilotのテストコード自動生成機能を使うことにより、検証、改善のプロセスが迅速化でき、早期のバグ発見や修正が可能になります。また、GitHub Copilotで概要を把握したうえで擦り合わせをおこなうことで情報共有プロセスの効率化が図れます。不慣れなコードも、GitHub Copilotに問い合わせればある程度は理解できるので、技術の習得にも役立ちます」(小笠原氏)

これらの効果を踏まえて、GitHub Copilotは同社が重要な指標として掲げるデプロイ頻度の向上に大きく寄与していると評価されており、現在テクニカルプレビュー中の GitHub Copilotネイティブの開発環境 GitHub Copilot Workspaceの導入も、前向きに検討しているといいます。

川野貴史氏, 技術開発部 情報システム課 課長, 株式会社ネクサスエージェント

"Copilot を用いた身近な業務の効率化という成功体験を彼らが積み重ねることが、その後の継続利用につながり、企業全体の利益につながると考えています"

川野貴史氏, 技術開発部 情報システム課 課長, 株式会社ネクサスエージェント

月に一度の研修を継続し、Microsoft 365 Copilotの活用率を大幅に伸ばす

一方、全社で利用することを想定して全従業員分のライセンスを取得した Microsoft 365 Copilotの導入に際しては、GitHub Copilot より慎重に社内への浸透を図ったそうです。

Microsoft 365 Copilotの導入をリードした株式会社ネクサスエージェント 技術開発部 情報システム課 課長 川野貴史氏は、「当社のエンジニア以外の従業員は、生成 AIへの期待や理解度は高くはありませんでしたので、最初のインパクトを重視しました」と導入時の工夫を語ります。川野氏らは全従業員が参加する全体朝礼で Microsoft 365 Copilotの活用デモをおこない、その有用性をアピール。その後も月に一度のペースで研修を実施し続けているといいます。

研修プログラムを担当している株式会社ネクサスエージェント 技術開発部 情報システム課 築地翔吾氏によると、これまでの研修テーマは、Microsoft Excelデータの整理方法やプロンプトの例、Microsoft Teams会議の文字起こしや要約機能、また最近では Edgeブラウザ上でのデータ要約などを解説したそうです。

「当社の従業員の年齢層は平均 20代と若いのですが、新しいものに対する拒否感を持つ人間は年代を問わず一定数存在します。Copilotを用いた身近な業務の効率化という成功体験を彼らが積み重ねることが、その後の継続利用につながり、企業全体の利益につながると考えています」と、川野氏は研修の重要性について語ります。

川野氏は、大切なのは研修後すぐに従業員からヒアリングをおこない、活用に至らない理由やより深く知りたいと思っていることを集めたうえで、次の研修ではそれらの意見に対する解決策を提示することだと言います。「このサイクルを繰り返すことで使いこなせる従業員を増やしていきます。業務における PDCAの考え方と同じですね」(川野氏)

「研修で使用する活用例などの情報は、日本マイクロソフトが開催するセミナーやテクニカルブログ、またパートナーであるリコージャパンのセミナーなどから取得しています。研修では、まず課題となっている業務を挙げて、Microsoft 365 Copilotがどのように課題解決に役立つのかをなるべく具体的にまとめることを意識しています」(築地氏)

こうして半年ほど研修を続けた結果、Microsoft 365 Copilotの導入当初は 5割程度だった利用率が回を追うごとに上昇し、現在はほぼ全ての従業員が「なんらかの業務で活用している」とアンケートに回答しているといいます。

築地翔吾氏, 技術開発部 情報システム課, 株式会社ネクサスエージェント

"研修では、まず課題となっている業務を挙げて、Microsoft 365 Copilot がどのように課題解決に役立つのかをなるべく具体的にまとめることを意識しています"

築地翔吾氏, 技術開発部 情報システム課, 株式会社ネクサスエージェント

Teamsの Copilot機能は新たな社内文化の創造にも貢献

川野氏によると、同社における Microsoft 365 Copilot活用方法のなかでも評価が高いのが Teams会議のアジェンダ作成や要約の機能とのこと。会議に参加できなかった従業員が録画を見直したりその内容を書き出して整理したりといった手間がほぼなくなり、さらに議事録も会議終了と同時に作成できるので、情報の共有や報告が格段にスムーズになったといいます。

従来、議事録を残す習慣があまりなかったという同社。Microsoft 365 Copilotで簡単に議事録を作成できるとわかったことで、“ではつくってみよう”という流れができたといいます。「以前は不参加会議の聞きなおしから始めていましたが、今では会議終了後一瞬で議事録ができますので、会議のキャッチアップの大幅な時間削減になります。また、議事録を残すことで情報共有がよりスムーズになります」と河野氏は Microsoft 365 Copilot活用による効率化と生産性向上を高く評価します。

さらに営業部門では、日々の情報収集やアイデアの壁打ち、顧客訪問前のシミュレーションなどに Microsoft 365 Copilotが活用されているそうです。「営業部門における活用促進は、代表が率先して呼びかけた効果が大きいです」と川野氏。代表取締役社長 岩田講典氏自らも全体朝礼でデモンストレーションをおこない、「情報を集めるのは Copilotに任せて、お客さまごとの提案のカスタマイズに時間をかけよう」と呼びかけたことで、一気に活用が進んだといいます。

PDCA サイクルを積極的に回して、より社会に役立つ AIサービスを

「研修で情報を提供いただいているリコージャパンからは、Microsoft 365 Copilot導入時にも手厚い支援をいただきました。いち早く導入を進めたかったので、かなり無理を申し上げたと思います」と川野氏。Microsoft 365 Copilotの導入支援のみならず、Microsoft 365ライセンスのアップグレードのサポート、また、キッティングの簡略化などでネクサスエージェントのニーズに応じたデバイスを迅速に提供するなど多角的なサポートをおこなう、リコージャパン株式会社 大阪支社 大阪ソリューション営業部 中央ソリューション営業グループ 山中友博氏は、「ネクサスエージェントさまは今回の Microsoft 365 Copilotに限らず最新の技術をキャッチアップするスピードが速いので、より迅速な対応をするように心がけました」と当時を振り返ります。

ネクサスエージェントでは、今後も AI技術の積極的な活用を計画しています。河野氏は「私たちの不動産WEB流通プラットフォーム“イエリーチ”というサービス内で、お客さまに向けたアドバイスや実務的な業務を担うAIエージェント機能を開発したいと思っています」と語り、これまで人間がやっていた業務を生成 AIに置き換えることで、よりお客さまに役立つサービスをつくっていきたいと意欲を示します。

「開発業務、社内業務ともに自分たちの生産性を上げ続けることが、社会への価値提供につながると私たちは考えています。AI技術に関わらず、取り入れられるものはまず取り入れて、試して、使えるものを選別し、積極的に使っていく。そのサイクルを回し続けていきたいと思います」(河野氏)

その言葉のとおり同社では、Microsoft 365 Copilot以外の AI技術についても常にキャッチアップし、比較しながらよりよい技術を見極め、優位と判断すればすぐに入れ替えるなど、運用サイクルを回し続けています。その姿勢こそが他に類を見ないスピード感をもった業務改善につながり、価値の創造につながっているのです。

続けて河野氏は「マイクロソフトのサービスは世界中の多くの人々に使われています。そのため、少しの改善でも世界中の生産性が大幅に上がる。このレバレッジの利き方は非常に価値があるものです。これからも妥協することなく、ユーザーの生産性向上に寄与するサービス開発を期待しています」と述べ、マイクロソフトへの期待を示しました。

この言葉を胸に、私たち日本マイクロソフトもよりスピード感を持って製品・サービスを提供し続け、同社の目指す「豊かな世界」を実現するお手伝いをしていきたいという思いを新たにしました。

山中友博氏, 大阪支社 大阪ソリューション営業部 中央ソリューション営業グループ, リコージャパン株式会社

"ネクサスエージェントさまは今回の Microsoft 365 Copilot に限らず最新の技術をキャッチアップするスピードが速いので、より迅速な対応をするように心がけました"

山中友博氏, 大阪支社 大阪ソリューション営業部 中央ソリューション営業グループ, リコージャパン株式会社

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